週プレには後世に残したい写真集がある――。週刊プレイボーイ創刊50周年記念出版『熱狂』の編集チームが、50年分、約2500冊のバックナンバーを再調査した『熱狂』編集チームが独断と偏見と熱いグラビア写真愛でお届けする、グラビア写真集のブックガイドです!第一弾は、数々の女優が体当たりでヌードを披露した黄金時代と呼ぶべき80年代編をどうぞ。

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編集S 『熱狂』を作るにあたって週プレ編集の写真集もすべて見返した訳ですが、80年代の写真集はとにかく濃い。女優魂を感じる作品の宝庫です。

編集C 被写体もカメラマンも、一冊にかける時間と情熱が計り知れなかった。予算も潤沢。今では考えられない規模で制作されています。

編集O 古書市場にて高値で取引されているものも多いです。あの女優が実は脱いでいた、いわゆるお宝写真的なニュアンスで。

編集C それはもちろん、度肝を抜かれるような写真と出会うこともある。BEST5を選ぶにあたって、古書市場の価格価値よりも作品の質を一番に考えましょう。

編集S “質”といっても難しいですけどね。それぞれの好みもありますし……。

編集O まぁそんなに考え込まずに。今の読者に見てもらっても新しい、単純にいいと推せる作品を挙げていきましょう。

 

 

5位 由美かおる『由美かおる写真集』(1982年7月発売) 撮影/池谷朗

編集C では5位から。「レオタードの金字塔」と謳われる由美かおるさんの写真集です。

編集O バレエ団出身の肉体美が炸裂しています。潔い脱ぎっぷりが話題になりましたが、注目すべきは衣装を絡めたシチュエーションの多彩さ。

編集C ハーレーの横でY字バランス、スケスケのタンクトップを着てテニス、ヘルメットをかぶってハイレグ衣装で運転など、斜め上をいくカットが続きます。

編集S それがダサく見えなくて、今でも新鮮というか。

編集O 撮影を担当した池谷朗さんはとにかく女性のフォルムにこだわるタイプ。ポーズはもちろん、動きの中での一瞬の美しさがしっかり切り取られています。

 

 

4位 風吹ジュン『シルクウィンド』(1982年3月発売) 撮影/デビッド・ハミルトン
4位 風吹ジュン『シルクウィンド』(1982年3月発売) 撮影/デビッド・ハミルトン

編集S 4位は風吹ジュンの『シルクウィンド』。撮影はソフトフォーカスで一世を風靡したデビッド・ハミルトンです。風吹ジュンのヌードというお宝感はもとより、その写真のニュアンスにも注目です。

編集O 今や大女優のフルヌードですから、お宝感はピカイチ。モヤがかかったような写真から浮き出る、透き通った白肌が何とも美しい。

編集S この時代のグラビアを見返すと、明らかにハミルトンを意識した撮り方が増えますね。来日特写、というグラビアが雑誌の巻頭を飾ることもありました。モデルの名前よりデカデカとクレジットされることも。

編集C だからこそ、当時トップクラスの人気を誇った風吹ジュンとのカップリングは大きな話題になった。このカメラマンだったら一枚脱いでも……グラビアや写真集を作る上で写真家のチョイスは重要。ある意味、これがすべてですから。

編集S ハミルトンは昨年11月に亡くなられましたが、グラビアというジャンル外での作品集も豊富。中でも、ローティーンの美を追った作品は世界的に人気があります。

編集C 週プレ誌上で行われた立木義浩さんとの対談では、レンズに息をハーッと吹きかける自らの撮影方法を明かし、「いつかは少年を……」という夢を語っています。

編集S そっち系のタイプはやはり、究極は少年愛に行き着くことに。必然ですね。

 

 

3位 松本ちえこ『愛があるから…あなたへ』(1981年4月発売) 撮影/中村昇
3位 松本ちえこ『愛があるから…あなたへ』(1981年4月発売) 撮影/中村昇

編集O 話しが逸れてきたので3位にいきます。中村昇さん撮影の松本ちえこ写真集『愛があるから…あなたへ』です。

編集C この写真集はタイトルがすべてを言い得ています。中村さんは当時、『セブンティーン』でファッションを撮っていた。だけど、どうしても女を撮りたくて日本全国の素人娘を撮影していて、その中のひとりが彼女だった。

編集O 写真集が発売当時(1981年)は表紙巻頭クラスの人気がありました。

編集C 撮り始めてから6年ですよ。「中村さんだったら脱いでもいい」ということで写真集の制作に至ったらしい。しかも、ポンと経費を貰ってふたりでグアムに行くという。

編集S これまでの信頼関係があったから、そんな大胆なロケを実現することができた。今だったら絶対に在り得ない。

編集C 少女から大人へ……なんて安い言葉じゃ表せない。男と女の愛というより、写真があるから通じ合える男女の関係。6年という年月が生んだ、泣けてくる写真の数々は必見です。

 

 

2位 原田美枝子『勝VS美枝子』(1980年3月発売) 撮影/勝新太
2位 原田美枝子『勝VS美枝子』(1980年3月発売) 撮影/勝新太

編集S 次に行きましょう。2位は原田美枝子写真集『勝VS美枝子』です。当時、映画を中心に活躍する新進女優のヌードです。

編集O なにせカツシンこと、あの勝新太郎が撮影/プロデュースですから。普通なわけがない。とにかくスケールの大きさに度肝を抜かれます。ロケハンから衣装選び、撮影、セレクトまですべてカツシンが手掛けた。グラビアの枠を完全に超えています。

編集C 言葉にすると嘘くさくなりますけど、マシンガンをぶっ放したり、命綱なしでヘリコプターにぶら下がったり。撮影を超えて一編の映画を観ているような錯覚を覚えます。

編集S しかも写真がカッコいい。望遠で狙ったものがほとんどで、朝焼けや夕景などここぞの時間帯を狙ってしっかり撮っている。股間の下から真っ赤な太陽がのぞくカットは神々しさすらある。

編集O カツシンの“女性観”、女はかくあるべしという思想が詰まっている、というと大げさかもしれないけど。それに喰らいつく原田美枝子の女優魂も凄まじい。

 

 

1位 浅野ゆう子『Night On Fire!』(1987年1月発売) 撮影/立木義浩
1位 浅野ゆう子『Night On Fire!』(1987年1月発売) 撮影/立木義浩

編集C それではラストワン。80年代の1位に挙げたいのが浅野ゆう子写真集『Night On Fire!』です。

編集O 当時、彼女がヌードになるなんて誰も想像できませんから。衝撃でした。

編集S ハードボイルド作家の大沢在昌さんがシノプシス(あらすじ)を考え、立木義浩さんが撮影を担当。一本の映画並みの予算が投入されたとか。

編集C ロケ地のLAではハリウッドの俳優をスタンドインさせたり、スタントチームを雇って爆破させたり。恐らく一冊の写真集で、ここまで大規模で行われたロケは世界を見渡してもないはずです。そもそものきっかけは創刊20周年の記念で、大きな花火をぶち上げようと企画したもの。

編集O 当時は部数が100万部を超えていて、その勢いがこの一冊に凝縮されたような気がします。週プレ通常号のグラビア(1986年46号)は、全60ページにわたってこの写真を掲載。そんなことは50年の歴史の中でも一度きり。

編集C 1位に挙げた大きな理由は、スケールの大きさだけじゃなく、しっかりグラビアをやろうと最後まで手を抜かなかったこと。立木さんにインタビューをした際に「大げさなことをやると写真の本丸から離れる」ということを聞きました。当初はLAで終わるはずが、納得できず更に露出度の高いヌードが欲しくてハワイに飛んだそうです。

編集S 追撮でハワイって……。でも、このパートがあったからこそ、グラビアとしての魅力が、ひいては読者が見たいものがしっかり抑えられています。

編集C 「結局、評価を決めるのは読者だから」とは立木さんの言。

編集O 残念ながら中身を『熱狂』に掲載することは叶いませんでしたが、是非、手にとって欲しい一冊です。挑戦的なデザインも見てもらいたい。

編集S それにしても80年代は改めて濃すぎです。他にも見逃せない写真集が揃っているので、『熱狂』でリストを確認して古書店やネットでチェックしてください。

 

1位 浅野ゆう子『Night On Fire!』(1987年1月発売) 撮影/立木義浩
2位 原田美枝子『勝VS美枝子』(1980年3月発売) 撮影/勝新太郎
3位 松本ちえこ『愛があるから…あなたへ』(1981年4月発売) 撮影/中村昇
4位 風吹ジュン『シルクウィンド』(1982年3月発売) 撮影/デビッド・ハミルトン
5位 由美かおる『由美かおる写真集』(1982年7月発売) 撮影/池谷朗

 

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